障害者の親なきあと問題とは?
知的障害者のある方の親にとって、自分がいなくなったあと子供がどうなるのか、安心して地域で生活できるのかは、大変大きなテーマです。
親が元気なあいだは、障害者(児)の介護・すまい・諸手続きなど身の回りのこと、お金のこと
親の支えによりつつがなく生活することができますが、
親に万一のことがあったら…
私の娘も重度の知的障害者で話すこともできません。私がいなくなったら、娘は残りの人生をすごしていけるだろうかと漠然とした不安をいつも感じています。
一般に子供が未成年のうちに準備した方がいいこと
親の老後までには備えておきたいことライフステージにより様々
制度にはそれぞれメリット・デメリットがありますし、
ご家庭の状況により対応方法は異なります。
どのようなすまいや制度があるのか?
どのように組み合わせるのが最適なのか?一緒に考えてみましょう。
住まい
住まいの種類
障害者支援施設
食事・入浴・排せつなど重度障害者でも対応できるサービスを提供している施設が多いです。
かつては人里離れた大規模な施設というイメージでしたが、入所施設から地域の暮らしへと徐々に変化しつつあります。
障害者グループホーム
・早朝夜間に介護等のサービスを提供し、日中は作業所(生活介護事業所)へ通所するといったスタイルが多いです。
・「わざわざ通うのはつらいので日中もホームですごしたい」といったニーズに応えるため、「日中サービス支援型」のサービスを提供するホームも徐々にでてきました。
・最近では、食事時間は共同ですごしつつ、夜間はアパートのような個室ですごしたいという利用者のため、「サテライト型」も増えつついあります。今後は、徐々に居住支援を受けながら自立した生活を目指す利用も増えてくるでしょう。
福祉サービスを利用した一人暮らし
・日中は作業所や生活介護事業所に通い、夜間は居宅介護などのサービスを受けながら一人暮らしをするという選択肢もあります。
・地域で必要なサービス量が提供できるのであれば、このような暮らしも可能ですが、介護人材が不足している状況であれば難しいかもしれません。
☆事前に調べる
・障害者の親なきあとのすまいの種類は様々ですが、費用や提供されるサービスはそれぞれです。
・親と同居している場合は発生しない家賃費用なども別途かかり、グループホーム(施設)間でも差があります。一度入居すると転居は難しいので、前もって調べることをおすすめします。
・国や地方公共団体の支援制度はあるのか、年金で収支は足りるのかなど、情報収集して備えることも必要です。
☆家族と離れる練習(ショートステイ)をする
・家族以外の方とすごすことは本人にとって大変なことですが、ショートステイなどで徐々に慣れることが大切です。
・複数の施設(グループホーム)を利用することで、本人に合った居場所がだんだんイメージできてきます。
・親自身も老いて子の介護が難しくなることが予想されます。子のいない生活を体験することで、老い支度も身近になるでしょう。
暮らしを支える制度
成年後見制度
成年後見制度とは?
認知症や知的障害などが原因で判断能力が十分でない場合、後見人等が預貯金の管理や不動産の売買、施設入所契約等、その方に代わって契約するなどして日常生活を支える仕組みのことです。
成年後見制度の種類
成年後見制度は大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2種類あります。
重度の知的障害者などの場合、自分の意思で任意後見契約を結ぶことは困難なので、法定後見制度の利用が一般的です。
法定後見制度のメリット
☆手続きがスムーズ
・判断能力が十分でない重度の知的障害者などの場合、預貯金の管理や施設入所契約など本人だけですることは難しいですが。法定後見制度の利用で問題なく手続きできます。
・預貯金口座の開設など、成人の知的障害者では、その両親でも手続きが困難な場合も少なくありませんが、法定後見制度の活用により金融機関等の手続きがスムーズになります。
法定後見制度のデメリット
☆親族が選任されない場合もある
後見人が誰になるかは裁判所が決めることなので、たとえ親など親族が候補者となって申立をしても選任されない場合があります。
☆親族以外が後見人になった場合、報酬が発生する
親族以外(専門職や法人など)が後見人として選任された場合、一定額の報酬が発生します。知的障害者の場合長期にわたることも予想されますが、限られた本人の収入の中からの支出となるので、その親族にとって抵抗感を感じることがあります。